「こんにちは、何かお手伝いできることはありませんか?」Edward Jonesでのカスタマーサービスの最適化

米国とカナダに1万2,000以上の支店があり、世界中におよそ700万人の顧客を持つEdward Jonesには、質の高いカスタマーサービスの知識があります。

ミズーリ州セントルイスに本社があり、顧客の需要に対応するために金融アドバイザーの人員を随時増やしています。2020年までに2万人の金融アドバイザーを配置することを望んでいます。現在の成長と将来の拡大計画で、世界クラスのサービスを顧客の期待以上にし続けたいと考えていました。ビジネスプロセス改善チームは、Lean Six Sigmaの戦術とMinitabの統計ツールを備えながら、サービスへの需要が高まる中で、高い顧客サービス基準を満たし続ける方法を評価することにしました。

課題

Edward Jonesのサービス部門は、顧客からサービスセンターに電話がかかってきたときに、適時、適切、専門的な対応をし、一人一人に親身になって対応をカスタマイズすることに重点を置いています。ですが、電話の件数が急増しているために、以下の課題が浮上しました。現在のサービス担当スタッフは、現在の高い顧客サービス標準を維持または超えながら、サービス需要の増加にどのように対応すべきか。

Illuminated sign of Edward Jones in front of an office building.

Minitabを使用して、プロジェクトチームは、コールセンターにおいて、顧客サービスプロセスの改善につながる因子の最適な組み合わせを探すために、DOEを実行しました。

「質問をされました。サービス担当スタッフに複数種のスキルをトレーニングした方がいいのか、平均回答速度を最適化するにはどうすればいいか、などです。質問に答えるために、データ分析とMinitabを検討しました。」とEdwards Jonesの黒帯マスターでビジネスプロセス改善マネージャーのRod Toroさんは話します。

Minitabによる支援方法

Toroさんとプロジェクトチームは、このLean Six Sigmaプロジェクトをどう始めるかを考えていたときに、画期的なアイデアが浮かびました。

「最初は、各スタッフが毎回顧客に対応するときに、仕事をより良く行えるようにするにはどうしたら良いかを考えていました。ですが、新人トレーニングから実際の電話応対の各段階および応対後の作業まで、電話応対のプロセス全体とすべての側面を改善することに焦点を移しました。」とToroさん。

焦点を移したことで、チームはプロセス全体の観点から改善を考えられるようになりました。繰り返し可能で、標準化され、予測可能なプロセスすなわち最適化できるプロセスを考え始めました。

「どのスタッフにどのスキルが適切かがわかる指標を特定すること、およびワークフローをより効率的かつ有意義な方法で合理化することが必要なのはわかっていました。適切な人を適切なスキルに割り当てることで、平均対応時間を短縮し、それによって平均回答速度と全体的な顧客体験を向上させます。」とToroさん。

プロジェクト初期では、スタッフ全員が複数のスキルのトレーニングを受けました。どのスキルでも、配属の優先順位は同じです。また、人員の変更と追加は、それがもたらす影響を考慮せず、頻繁に行われました。改善はどこからでも可能だからです。「すべての電話応答スキルにわたって部門のパフォーマンスのバランスをとるために、スタッフの能力を最適化する機会を設けました。」とToroさん。

どのようにしたのでしょうか?Minitabの実験計画(DOE)ツールに入力するのです。

統計では、DOEは、複数の変数が結果または応答にどのように影響するかの洞察につながる、一連の実験の実行または検定の作成を意味します。計画実験では、プロジェクトチームは一度に複数の因子を変更し、統計分析でどの因子が重要かを判断し、因子の最適な水準を特定することができます。

DOEの一般的な応用は、製造環境で行なわれるもので、最も少ないコストで最適な工程性能を出す機械設定を探します。

「一般的に、実験の計画や他の統計的手法は製造業界で使われるというのを聞きます。でも、応用できるところは限りなくあります。実験の計画の原則を理解すれば、サービスプロセスにも応用できることに気づくでしょう。」とToroさん。

Toroさんとチームは、評価、電話応対後の作業、シフト時間、トレーニング時間の4つの主要な因子を選択し、Minitabで2水準要因計画を行いました。データを収集して分析した後、Minitabの出力を使用して、4つの主要な因子それぞれの最適な組み合わせを評価することができました。

A 2-level factorial experiment using associate rating, after-call work, shift hours, and training hours as factors

全体的な性能の平均の主効果と交互作用プロットで示されたのは、スタッフをすべてのスキルに精通するようにトレーニングすることがむしろマイナスになることでした。また、標準偏差の主効果と交互作用プロットにより、一貫性が主に、スキルレベルの高いスタッフによるものであることが明らかになりました.

「すべてのスタッフにすべてのスキルというのは、効果的ではありませんでした。適性が最も高いスキルに集中してもらう方が、パフォーマンスが良くなることがわかりました。なるほどと思いました。」とToroさん。

Pareto Chart showing the interaction among factors that impacted performance

上のPareto図で、全体的なパフォーマンスに大きな影響を与えた因子間の相互作用が示されました.

DOEにより、適切なスキルのある適切な人に適時に電話応対をしてもらうことで、最適な顧客体験を提供できるという結論をだすことができました。さらに、スタッフの人数、電話応答の件数、プロセスのリードタイムの間の関係を評価するために、Minitabで3D散布図を用いました。

 3D scatter plots showing relations between people, calls, and PLT.

Minitabで3D散布図を用いることで、3本の軸にデータをプロットして3つの変数間の関係を一度に評価することができました.

「3D散布図でMinitabのすごさが示されました。各変数の主要な因子と主要な水準を簡単に掘り下げて、判別できました。」とToroさん。

結果

サービス部門は、特定のスキルのあるスタッフを最適な領域に配置することで既存のチームの能力を10%以上向上させ、また平均対応時間、平均回答速度、電話応対後の作業時間など、微調整のために設定したコールセンターの指標を改善することができました。

カスタマーサービスのスタッフも、配属先に喜んでいます。就業時間内にでる電話の件数を増やすことができ、さらに、1日がはるかにスムーズに進み、それぞれの領域で学んで知識を深めることに集中する時間的な余裕も取ることができるようになったと、多くのスタッフが言いました。

「改善をただ直感的に行なうのではなく、統計分析とLean Six Sigmaを頼りにする、より事実に基づいたアプローチを取ることで、はるかにうまくいきました。

DOEを用いてサービスを改善するのが一般的でないのは、もったいないです。ツールを適切に使う方法だけにとらわれずに、DOEの原則を理解することで、通常は製造の工程改善に使用されるツールを、サービス部門やすべての部門で使用できるようにカスタマイズ可能なのだとわかります。」とToroさん。

Edward Jones Logo

組織

Edward Jones

 

概要

  • フルサービスの金融仲介会社
  • ミズーリ州セントルイスに本社
  • 米国とカナダの1万以上の支店に1万1,000人以上の金融アドバイザー配置
  • 1922年創設

 

課題

サービス需要が高まる中、顧客サービスの高い基準を満たし続ける。

 

使用された製品

Minitab® Statistical Software

 

結果

  • カスタマーサービスのスタッフにすべての領域のトレーニングを受けさせることは、特定の領域の専門家になるようにトレーニングすることほど効果的ではないことが判明
  • 現在のチームの能力を10%以上向上
  • 平均対応時間、平均回答速度、電話応対後の作業時間など、コールセンターの指標を改善